
TL;DR — AI同人誌は「本文の挿絵・口絵・カットを1枚絵として生成 → 文字入れ → 入稿データ化」の流れで作れる。得意なのは連続した漫画パネルより1枚絵。カラー口絵は350dpi・CMYK、本文モノクロは2階調1200dpiと入稿仕様が分かれる。頒布先ごとにAI作品のルールが違う(コミティアは原則禁止、DLsite/BOOTHは申告・明示が条件)ので、健全(SFW)・オリジナルで作り、ルールを必ず確認する。1クレジット=1円のサービスなら無料100クレジットから試せる。
「小説の同人誌に挿絵を入れたい」「オリジナルのイラスト集を出したいけど絵は描けない」——そんなときに現実的な近道が画像生成AIです。ただし、AIで数枚出力すればそのまま同人誌になる、というほど単純ではありません。本文の挿絵とカラー口絵で入稿データの作り方が違ううえに、頒布先によってはAI作品そのものが禁止されていることもあります。この記事では、AI同人誌の作り方を「生成 → 仕上げ → 入稿 → 頒布」の全工程で、2026年の印刷仕様と頒布ルールに沿って解説します。表紙のつくり方は工程が異なるため、同人誌の表紙をAIで作る手順 にまとめています。
AI同人誌はどこまで作れる?まず得意・不得意を知る
最初に、いまのテキスト生成AIが「同人誌のどこに使えるか」を正確に押さえておきましょう。ここを誤解すると、作り始めてから手戻りします。
| 用途 | AIの得意度 | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 口絵・扉絵(カラー1枚絵) | ◎ 得意 | 1枚を丁寧に追い込む用途。最も向く |
| 小説の挿絵・カット | ◎ 得意 | 場面ごとに1枚ずつ生成すればよい |
| イラスト集・画集 | ◎ 得意 | 枚数を出す用途と相性が良い |
| 表紙 | ○ 可能(別工程) | 判型・背幅・文字入れが絡む。専用記事参照 |
| 連続した漫画パネル | △ 苦手 | 同じキャラを何十コマも一致させにくい |
要点は、AIは「1枚絵」に強く、「連続したストーリー漫画」は苦手ということです。同じキャラを全ページで完全に揃えるのは現状のAIには難しく、無理に全編AIで作ると絵柄がブレます。だからこの記事は、小説同人誌の挿絵・口絵・カット、そしてオリジナルのイラスト集という、AIが実力を発揮する用途に絞って手順を示します。ストーリー漫画をやりたい人は、ネームと下描きを自分で描き、AIは背景や仕上げの補助に使う、という役割分担が現実的です。
先に確認:健全(SFW)・オリジナル・頒布先ルール
技術の前に、いちばん大事な前提です。ここを外すと、作品が完成しても頒布できません。
- 健全(SFW)で作る — ComfyStudio は健全特化で、R18(成人向け)や実在人物の加工・ディープフェイクには対応していません。全年齢向けの同人誌づくりに向きます。
- オリジナルで作る — 特定作品のキャラに酷似した出力は著作権や規約に触れる可能性があります。オリジナルキャラや権利的に問題のないモチーフで作るのが安全です。
- 頒布先のAIルールを確認する — これが2026年で最も見落とされる点です。次のセクションで具体的に見ます。
著作権まわりの基本的な考え方は、文化庁の AIと著作権について が一次情報として参考になります。商用頒布を考えるなら AIイラストを無料で商用利用する方法 も合わせて確認してください。
頒布先ごとのAI作品ルール(2026年版)
同じAI同人誌でも、出す場所によって扱いが大きく違います。作り始める前に、狙う頒布先のルールを確認しておきましょう。
| 頒布先 | AI作品の扱い(2026年時点) | 一次情報 |
|---|---|---|
| コミティア(COMITIA156〜) | 原則禁止。AI生成物を挿絵に用いた文芸・絵本、ラフ/ネームをAIで清書した作品も不可 | ITmedia報道 |
| DLsite | 取り扱いあり。どの素材にAIを使ったかの申告が必須(背景のみでも申告) | DLsite公式 |
| BOOTH | 取り扱いあり。商品ページにAI生成である旨の明示が条件。未記載は削除対象 | BOOTH告知 |
とくに注意したいのがコミティアです。2026年6月開催の COMITIA156 から、生成AIを使った作品は「補助」の範囲を超えるものとして販売・配布・展示が原則禁止になりました(ITmedia・2026年3月報道)。イベントによって方針はまったく異なるので、サークル参加するイベントの最新の要項を必ず自分で確認してください。ダウンロード頒布の DLsite・BOOTH は、AI利用を正しく申告・明示すれば頒布できますが、規約は更新されるため申請前に公式ページを見るのが確実です。
隠して出すのではなく、AI利用を明記して正しく頒布する——これが摩擦を避け、長く活動を続けるための基本方針です。
AI同人誌の全体工程:7ステップ
全体像を工程表にすると、どこにいるか迷いません。挿絵中心の小説同人誌/イラスト集を想定した流れです。
| ステップ | やること | 使うもの | 担当 |
|---|---|---|---|
| 1 | 企画・前提確認(SFW/オリジナル/頒布先ルール) | — | 人 |
| 2 | 判型とページ構成を決める(カラー口絵/本文モノクロ) | — | 人 |
| 3 | 挿絵・カットを生成する | ComfyStudio | AI |
| 4 | img2img・背景透過で仕上げる | ComfyStudio | AI+人 |
| 5 | 文字・レイアウトを組む | 画像編集・DTPソフト | 人 |
| 6 | 入稿データに整える(dpi・カラーモード・塗り足し) | 画像編集ソフト | 人 |
| 7 | 頒布する(AI利用を申告・明記) | 印刷所/DLsite等 | 人 |
このうち、絵が描けない人がつまずくステップ3〜4を、ブラウザ完結のAIで一気に短縮するのがこのガイドの狙いです。ステップ5以降は同人誌づくり共通の作業なので、既存のノウハウがそのまま使えます。
ステップ3:挿絵・カットを生成する(一貫性のコツ)
挿絵は「場面ごとに1枚」で作れるため、漫画パネルよりずっと安定します。それでも、同じキャラが繰り返し登場する小説挿絵では、キャラの一貫性が仕上がりを左右します。
最初に、キャラの「設計図」を言葉で固めます。髪型・髪色・服・目・雰囲気を分解し、毎回のプロンプトに必ず入れることで、場面(ポーズ・背景・表情)だけを変えても同じキャラを保てます。
original character, teenage girl, long straight black hair, red ribbon,
navy sailor uniform, gentle calm expression, soft anime shading
--- ここまでを固定。以降を場面ごとに差し替える ---
standing by a train window at sunset, looking outside ← 場面だけ入れ替える
前半の「固定ブロック」は毎回そのまま使い回し、最後の1行だけを場面に合わせて差し替えます。ブレをさらに抑えたいときは、次の3つを意識すると安定します。
- 設計ブロックの文言を1文字も変えない(語順の差でも顔立ちが揺れる)
- 満足いった1枚を「基準」に決める——以降はその基準に寄せて選別する
- どうしても寄らないときは img2img で基準画像を下地にし、構図だけ差し替える(約6cr/枚)
具体的なプロンプトの組み立ては アニメAIイラストのプロンプト例 が、画風のベース選びは /generate の各テンプレート比較が参考になります。標準画像は1枚あたり約2クレジット(1クレジット=1円)なので、まずは無料の100クレジットで画風を固め、方向性が決まってからまとめて生成するとムダがありません。
カット(章扉や余白の小さな挿絵)は、キャラを描かないモチーフ(小物・風景・パターン)で作ると量産しやすく、本のトーンを揃える効果があります。
ステップ4:img2img・背景透過で仕上げる
生成した1枚絵を、そのまま入稿するとは限りません。用途に応じて仕上げの工程を挟みます。
| 仕上げ | 使うワークフロー | 目安コスト | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 元絵を活かして構図を変える | img2img(FLUX.2 edit) | 約6cr/枚 | 基準キャラの別ポーズ挿絵 |
| 背景を透過する | 背景透過(BiRefNet v2) | 約9cr/枚 | カットや素材を他ページに配置 |
| 文字・ロゴを含む絵をきれいに | FLUX.2 Flex | 都度 | 章扉のタイトル装飾など |
| 高品質に1枚を追い込む | 高品質モデル(FLUX.2 [dev]) | 約5cr/枚 | 口絵・巻頭カラー |
口絵(巻頭カラー)は本の顔になるので、文字や細部に強い高品質モデル(FLUX.2 系・約5cr) で1枚を丁寧に追い込むと後処理が減ります。挿絵の量出しは標準(約2cr)で候補を多めに作り、採用した分だけ高品質や背景透過に進むと、費用が読みやすくなります。
ステップ6:入稿データの整え方(カラーとモノクロで分かれる)
同人誌の入稿で最もつまずくのがここです。AIが出すのはRGB・カラーの画像なので、本文モノクロとカラー口絵で別々の仕様に整える必要があります。以下は複数の同人誌印刷所が公開する標準的な目安です(コミグラ・栄光・2026年7月時点)。
| 項目 | カラー口絵・表紙 | 本文モノクロ(2階調) | 本文グレースケール |
|---|---|---|---|
| カラーモード | CMYK | モノクロ2階調 | グレースケール |
| 解像度 | 350dpi | 1200dpi | 600dpi |
| 塗り足し | 上下左右3mm | 上下左右3mm | 上下左右3mm |
| AI出力からの変換 | RGB→CMYK変換 | グレー化→2階調化 | RGB→グレー化 |
ポイントは3つです。第一に、カラーはCMYK変換。RGBのまま入稿すると鮮やかな青や緑が沈むことがあります。第二に、本文モノクロは解像度がカラーより高い(2階調で1200dpi)——AI出力は解像度が足りないことが多いので、高解像度で生成し直すかアップスケールしてから2階調化します。第三に、塗り足しは全ページ上下左右3mm。裁ち落とし用に背景を仕上がり線の外まで伸ばします。最終的には印刷所が配布する入稿テンプレートに合わせるのが確実です。料金体系の考え方は ComfyUIクラウドの料金の仕組み も参考になります。
費用の目安:小説同人誌の挿絵は無料枠でも足りる
挿絵中心の同人誌なら、必要な生成枚数はそれほど多くありません。1クレジット=1円の従量課金で試算すると、費用は小さく収まります(標準画像 約2cr/枚を前提)。
| 作りたい規模 | 生成枚数の目安 | 生成クレジット | 円換算の目安 |
|---|---|---|---|
| 小説の挿絵(お試し) | 挿絵3+予備 = 約6枚 | 約12cr | 0円(無料100crの範囲) |
| 挿絵入り小説本 | 口絵1+挿絵6+予備 = 約20枚 | 約40cr | 約40円 |
| ミニイラスト集 | 表題12+予備 = 約24枚 | 約48cr | 約48円 |
| 本格イラスト集 | 30点+予備 = 約60枚 | 約120cr | 約120円 |
※生成し直しの回数で変動します。口絵を高品質(約5cr)や背景透過(+約9cr)にする場合はその分を加算してください。
注目すべきは、登録特典の無料100クレジット(カード不要)だけで、挿絵入り小説本〜ミニイラスト集の生成がまるごと収まることです。月額固定プランだと「年に数冊」の個人サークルには割高ですが、従量なら必要な分だけで済みます。継続してシリーズ化するなら、サブスクのほうが1クレジットあたりの単価が下がります。
| プラン | 月額 | 付与クレジット | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 無料登録 | ¥0 | 100cr(登録特典) | まず試したい |
| Lite | ¥980 | 1,500cr | 趣味でときどき作る |
| Standard(人気) | ¥1,980 | 3,600cr | 個人で本格的に |
| Pro | ¥2,980 | 6,000cr | 副業でシリーズ化する |
最新の料金は /pricing で確認できます。
ComfyStudio で挿絵を作る手順
ComfyStudio は、ComfyUI のワークフローをブラウザで実行できる日本発の健全(SFW)特化 AI イラスト生成 SaaS です。会員登録だけで FLUX や FLUX.2 系を含む複数モデルを使え、料金は 1 クレジット = 1 円の従量課金。環境構築なしで高解像度の生成にも対応するので、全年齢向けの同人誌素材づくりに向いています。
- 登録して画風を試す — 無料登録の 100 クレジット(カード不要)で、作品に合う画風を確認する
- キャラを固定して挿絵を出す — 設計ブロックを毎回入れ、場面だけ差し替えて高解像度に生成する
- 仕上げ・入稿データ化 — img2img/背景透過で整え、カラーは350dpi・CMYK、本文モノクロは2階調1200dpiに変換する
- AI利用を明記して頒布 — 頒布先のルールを確認し、AI利用を申告・明記する
月額固定ではないので、必要な挿絵の枚数分だけのコストで済みます。まずは 無料で試す、作例からの生成は ギャラリー から確認してください。表紙まで作るなら、続けて 同人誌の表紙をAIで作る手順 が役立ちます。
よくある質問
Q. AIで同人誌を作って頒布しても大丈夫ですか? A. 頒布先のルール次第です。2026年6月のCOMITIA156から、コミティアは生成AIを使った作品(AI生成物を挿絵に用いた文芸・絵本を含む)を原則禁止しています。一方でDLsiteはAI申告制、BOOTHはAI利用の明示が条件で頒布できます。頒布先ごとに最新ガイドラインを必ず確認し、オリジナルかつ健全(SFW)で作るのが安全です。
Q. AIでストーリー漫画の本文ページまで作れますか? A. 現状のテキスト生成AIは、同じキャラを何十コマも完全に一致させるのが苦手です。向いているのは口絵・扉絵・挿絵・カットといった1枚絵の工程です。小説同人誌の挿絵やイラスト集なら実用的に作れます。連続した漫画パネルは、下描きを自分で描いてAIは仕上げ補助に使うなど、人の手を主体にする前提で考えてください。
Q. 本文の挿絵は白黒(モノクロ)ですが、AIで作って入稿できますか? A. 作れます。AIはカラーで出力されることが多いので、グレースケール化してから入稿します。本文モノクロの入稿はカラーとは解像度が違い、モノクロ2階調なら1200dpi、グレースケールなら600dpiが目安です。カラー口絵は350dpi・CMYK・塗り足し3mmで整えます。印刷所配布のテンプレートに合わせると確実です。
Q. AI同人誌の挿絵づくりにかかる費用はどのくらいですか? A. ComfyStudioは1クレジット=1円の従量課金で、標準画像1枚あたり約2クレジットです。登録特典の無料100クレジット(カード不要)だけで約50枚を試せるので、挿絵数点+カットの小説同人誌なら実質0円で候補づくりができます。高品質モデルでも約5クレジット、ブラウザ内の背景透過は1枚+約9クレジットが目安です。
Q. 表紙もこの記事の方法で作れますか? A. 表紙は判型・背幅・塗り足しの計算やタイトル文字の配置など、本文の挿絵とは工程が異なります。表紙づくりに特化した手順・費用・入稿データの整え方・AI明記マナーは、別記事の 同人誌の表紙をAIで作る手順 で詳しく解説しています。本記事は本文の挿絵・口絵・カットの工程に絞っています。
Q. 既存キャラの二次創作をAIで作ってもいいですか? A. おすすめしません。特定作品のキャラに酷似した出力は著作権や各サービスの規約に触れる可能性があり、頒布先でも差し戻しの原因になります。ComfyStudioは健全(SFW)特化で、実在人物の加工やディープフェイクにも非対応です。オリジナルキャラや権利的に問題のないモチーフで作るのが、いちばん安全で長続きする選び方です。
まとめ
AI同人誌の作り方は、「本文の挿絵・口絵・カットを1枚絵として生成 → 文字入れ → 入稿データ化 → 頒布」という流れです。AIが得意なのは連続した漫画パネルより1枚絵なので、小説同人誌の挿絵やオリジナルのイラスト集から始めるのが現実的です。入稿はカラー口絵(350dpi・CMYK)と本文モノクロ(2階調1200dpi)で仕様が分かれ、頒布先によってAI作品の扱いも異なります。健全(SFW)・オリジナルで作り、頒布先のルールを確認してAI利用を明記する——この基本を押さえれば、絵が描けなくても頒布できる同人誌を作れます。
ComfyStudioは、ブラウザだけ・日本語UI・1クレジット=1円・登録100クレジット無料・全プラン商用OKという条件がそろっているので、最初の挿絵を試すコストはほぼゼロです。まずは無料枠で、あなたのキャラが挿絵として立つかを確かめてみてください。表紙まで通して作るなら 同人誌の表紙をAIで作る手順 へどうぞ。


