
AIイラストで表情差分・服装差分を作る方法
ノベルゲームや同人ゲーム、配信用の立ち絵を作り始めると、必ずぶつかるのが「差分が足りない」問題です。キャラ1人につき、笑顔・怒り・照れ・泣き・驚きと表情だけで5〜10種類、さらに制服・私服・部屋着と服装差分。1枚絵を描くのとは別種の、地味で量の多い作業です。
従来これは、レイヤーを分けた PSD を用意して口や眉を差し替える工程でした。つまりイラストが描けて、かつレイヤー設計ができる人にしかできなかった。ここを崩すのが img2img です。
結論|1枚の元絵 + img2img(6cr)で差分は量産できる
先に結論です。キャラの完成絵が1枚あれば、そこから表情・服装・ポーズの差分は img2img で作れます。 ComfyStudio の画像編集(FLUX.2 edit)は1回6クレジット=約6円。1クレジット=1円なので、表情10種のセットでも60円ほどです。
やることは3ステップだけ。
- 元絵を1枚決める(標準の文章→画像=4crで作ってもいいし、自分で描いた絵をアップロードしてもいい)
- img2img に元絵を渡し、「変える1点」だけを指示する
- 出た差分を元絵として使い回さず、毎回オリジナルの1枚から派生させる
3つ目が地味に重要です。差分から差分を作ると劣化が積み重なり、5枚目には別人になります。必ず同じ元絵をハブにして放射状に派生させるのが一貫性を保つ鉄則です。
手順1|差分の"ハブ"になる元絵を作る
差分セットの品質は元絵で9割決まります。ハブ絵は次の条件を満たすように作ってください。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 表情はニュートラル(無表情〜微笑) | 笑顔から怒りへは遠く、無表情からならどちらにも近い |
| 正面〜やや斜め、バストアップか全身 | 角度が付きすぎると差分で顔が崩れやすい |
| 背景はシンプル(単色・簡素) | 背景が複雑だと差分ごとに背景まで変わってしまう |
| 髪型・服の情報量は控えめ | 装飾が多いほど再現がブレる |
ハブ絵の生成は標準の文章→画像(4cr=約4円)で十分です。何枚か出して「これだ」という1枚を選び、そこから先を編集に切り替えます。キャラの見た目を固定する考え方は 同じキャラを何枚も生成する方法 で詳しく扱っています。
手順2|表情差分は「変えない要素」を明示する
img2img の指示文でいちばんよくある失敗は、変えたい表情だけを書くことです。「笑顔にして」とだけ書くと、モデルは画風や髪型まで自由に解釈し直します。
正しい書き方は、変えない要素を先に固定し、変える要素を1つだけ書くこと。
髪型・髪色・瞳の色・服装・画風・背景はすべて元画像のまま維持。 表情だけを変更:口角を上げた明るい笑顔、目は少し細める。
この「維持リスト+変更1点」の型を使い回せば、表情ごとに末尾の1行を差し替えるだけで済みます。定番の表情セットは次の通りです。
| 表情 | 指示の書き方(末尾1行) |
|---|---|
| 通常 | 元絵をそのまま使用(生成不要) |
| 笑顔 | 口角を上げた明るい笑顔、目を細める |
| 照れ | 頬に赤み、視線をやや逸らす、口は小さく |
| 怒り | 眉を下げて寄せる、口をへの字に |
| 悲しみ | 眉尻を下げる、伏し目がち、口は閉じる |
| 驚き | 目を大きく見開く、口を開ける、眉を上げる |
| 困惑 | 眉尻を下げ口を歪める、視線を逸らす |
| 無表情(真顔) | 表情筋の動きをなくす、視線は正面 |
ノベルゲームなら通常+6〜7種あれば大抵のシナリオは回ります。表情8種を作るとして、通常は元絵流用なので生成は7回=42cr(約42円)。無料100クレジットの範囲に十分収まります。
手順3|服装差分は「顔を固定」して指示する
服装差分は表情差分より難易度が上がります。服を大きく変えると、モデルが顔まで描き直してしまいやすいからです。逆の固定をかけてください。
顔・髪型・髪色・表情・体型・ポーズ・背景は元画像のまま維持。 服装だけを変更:白いブラウスにネイビーのカーディガン、丸襟。
服装は色・素材・シルエット・襟や袖の形まで書くと再現が安定します。「私服」だけでは毎回違うものが出ます。
| 差分の種類 | 指示例 |
|---|---|
| 制服 → 私服 | オーバーサイズのパーカーとデニムスカート |
| 制服 → 部屋着 | 淡いグレーのスウェット上下、ゆったりしたシルエット |
| 冬服 → 夏服 | 半袖のセーラー服、袖を短く、上着なし |
| 通常 → 体操着 | 白い半袖シャツと紺のハーフパンツ |
服の面積が広く変わる差分は一発で決まらないことも多いので、2〜3回試す前提でクレジットを見積もっておくと安心です(6cr×3回=18cr=約18円)。一部だけを塗り替えたい場合は ComfyUI のインペイント(部分修正) の考え方も参考になります。
差分セットに必要なクレジットの目安
同人ゲーム1本を想定して、実額で見積もってみます(img2img=6cr/標準生成=4cr)。
| 構成 | 生成回数 | 消費クレジット | 円換算 |
|---|---|---|---|
| ハブ絵(標準生成で3枚試して1枚採用) | 3 | 6 cr | ¥6 |
| 表情差分 7種 | 7 | 42 cr | ¥42 |
| 服装差分 3種 | 3 | 18 cr | ¥18 |
| 服装 × 主要表情(3服 × 3表情) | 9 | 54 cr | ¥54 |
| キャラ1人ぶん 合計 | 22 | 120 cr | ¥120 |
キャラ1人の差分セットがおよそ120クレジット=約120円。登録時の無料100クレジットは、ほぼキャラ1人ぶんに相当します。メインキャラ3人+サブ2人の作品なら、試行錯誤ぶんを含めて800〜1,000cr程度を見ておくとよいでしょう(パック1,500cr=¥1,200、月額 Lite ¥980=1,500crが射程です)。
なお、img2img は6crと標準生成(4cr)の3倍消費します。構図やキャラ設計の試行錯誤は4crの標準生成で終わらせ、確定してから6crの編集に入るのが無駄のない進め方です。
ブラウザ完結だから「描けない人」でも差分が作れる
この作り方の実利は、PSD もレイヤーもペンタブも要らない点にあります。ComfyStudio はブラウザ完結・インストール不要・GPU不要で、元絵をアップロードして日本語で指示を書くだけ。差分作成はソフトの操作ではなく「文章を1行差し替える作業」になります。
同人ゲーム全体の制作フローに落とし込みたい人は AIイラストで同人作品を作るガイド も合わせてどうぞ。
まとめ|まず1キャラぶん試してみる
差分作成は「量が多くて面倒だが、絵柄の一貫性は絶対に崩せない」作業でした。img2img はそこを、ハブ絵1枚+1行の指示替えという単純作業に変えます。1回6cr=約6円、キャラ1人ぶんのフルセットでも約120円です。
登録するだけで100クレジットが無料(クレジットカード不要)。まずは手持ちのキャラ絵、あるいは標準生成(4cr)で作ったハブ絵から、表情差分を数枚出してみてください。一貫性が保てるかどうかは、3枚出せば体感できます。

